受託サービス
がんオルガノイドを用いた評価
オルガノイドとは
オルガノイドは「ミニ臓器」とも呼ばれ、組織や臓器が持つ3D構造に極めて似た細胞の塊のことを指します。
その中でも、がんオルガノイド(以下PDO※1)は構造的・機能的特徴が元のがん組織に近いため、疾患の原因究明や新薬の開発など、基礎研究と応用研究の両面での活用が期待されています。
※1 PDO: Patient Derived Tumor Organoid
使用するがんオルガノイド分散細胞の特徴
弊社からご提供するがんオルガノイド(以下S-PDO※2)は、福島県立医科大学との共同研究によってヒトがん組織から樹立された、浮遊培養可能なオルガノイドです。がんオルガノイド分散細胞(以下SD-PDO※3)は、S-PDOを特殊条件下で培養し、分散することで得られます。S-PDOは従来のがん細胞株とは異なり、複数の細胞から構成されたがん組織の組織学的特徴を持っています。S-PDOで発現していたがん細胞マーカーは、SD-PDOにおいても、その後に再形成されるがんオルガノイドにおいても発現を維持しています。また、ヘテロな細胞集団であるため、より臨床に近い薬効評価データの取得が期待できます。
- ※2 S-PDO: Suspended Patient Derived Tumor Organoid
- ※3 SD-PDO: Suspended and Dissociated Patient Derived Tumor Organoid
S-PDOおよびSD-PDOの蛍光免疫染色写真
大腸がん由来PDO赤色:Cytokeratin20 緑色:CDX2 青色:DAPI
分散前
分散後
分散後再形成
肺がん由来PDO赤色:Cytokeratin7 緑色:TTF-1 青色:DAPI
分散前
分散後
分散後再形成
がん細胞株は、長期間の培養で繰り返し増殖したため、遺伝子発現やゲノム配列などに変化が生じ、がん組織の特徴を維持していない場合が多いといわれています。S-PDOは、網羅的遺伝子発現解析により、同種組織由来のがん細胞株よりもヒトがん組織と遺伝子発現プロファイルが近いことが示されています。
PDO、がん組織およびがん細胞株の遺伝子発現解析結果
評価に使用するSD-PDOは、がん種や臨床情報をもとにお客様にお選びいただけます。
利用可能なSD-PDOのリストはページ下部の資料ダウンロードからご覧ください。
※SD-PDOを用いた受託試験の他、S-PDOやSD-PDOの販売も行っています。販売ページはこちら
SD-PDOを用いた試験で評価できること
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- ・薬剤感受性試験
- ・NK活性試験
- ・各種免疫評価試験
評価・解析例・提供データ
- ご提供するもの
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- ・試験計画書
- ・試験報告書(試験データおよびSD-PDOの臨床情報を含む)
- 試験例
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① SD-PDOを用いた薬剤感受性試験(細胞形態とIC50の比較)
【方法】
- 1. SD-PDO(2種類)を96ウェルプレートに播種した。
- 2. 播種直後、播種後7日間、および播種後14日間が経過したのちに化合物(3種類)を添加した。
- 3. 72時間培養後にATP量を測定した。
【結果】
播種直後に化合物を添加した場合に比べて、播種後7日間および14日間が経過したのちに添加した場合の方が、薬剤感受性が低い傾向があった。大腸がん由来PDOにGemcitabineを添加した場合については、細胞形態に依らず増殖阻害がみられた。
写真:化合物添加直前の細胞の様子
グラフ:化合物添加後の増殖阻害曲線 各グラフ右上の数値はIC50を表す -
② 常酸素下および低酸素下におけるSD-PDO(2種類)の増殖速度の比較
【方法】
- 1. SD-PDO(2種類)を96ウェルプレートに播種し、常酸素下(酸素分圧21%)および低酸素下(酸素分圧2%)で10日間培養した。
- 2. 播種直後および培養後にATP量を測定して増殖率を得た。
【結果】
低酸素下においてもS-PDOの培養が可能であること、およびオルガノイドが再形成されることを確認した。肺がん由来PDO_Aついては、低酸素下で増殖速度が6割程度に遅くなった。一方、肺がん由来PDO_Bについては、低酸素暴露の影響は見られなかった。
お客様から提供していただくもの
評価を行う検体のみご用意ください。
価格等
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