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分子間相互作用解析(ビアコア解析)とは

BIA(Biophysical Interaction Analysis, 生物物理学的相互作用解析)

ビアコア解析は標識を一切使用せず、質量変化を検出することでリアルタイムに分子の相互作用をモニタリングすることのできるシステム(SPR解析)です。得られたデータからは、結合速度定数(ka: association rate constant),解離速度定数(kd: dissociation rate constant),解離定数(KD: dissociation constant)などが算出できます。これらの情報は、生体反応を制御するタンパク質間の相互作用、タンパク質とペプチドや低分子等の相互作用を理解するために不可欠な情報となります。

SPR(Surface Plasmon Resonance: 表面プラズモン共鳴)とは金属薄膜表面における自由電子の集団的振動(=表面プラズモン)を励起したときに起こる光学現象です。金属薄膜表面で偏光を全反射するように照射すると、反射光の一部に強度の低下した部分が生じます。これをSPRシグナルと呼びます。SPRシグナルが生じる角度はセンサーチップ上の質量に依存するため、得られるシグナルはセンサーチップ上に固定した分子(リガンド)と添加した分子(アナライト)の結合又は解離により変化します。SPR解析ではこのシグナルの変化を検出することで、センサーチップ上で生じる分子間相互作用をモニタリングすることが可能です。

ビアコアの原理

ご提供する分子間相互作用解析の特徴

生体内での分子間相互作用には、分子構造や濃度、他の分子との状態などが複合的に関係しています。このような複雑な系全体を理解するには、まずは特定の相互作用に着目し、解析を行う必要があります。ビアコア解析は、1対1での生物物理学的相互作用を理解する上で、非常に有効なツールになります。

弊社では、基礎研究で培った高い専門性と幅広い経験を活かした解析技術に加え、Biacore T200の優れた感度とフレキシビリティー、およびSierra SPR-24 Proのスループット性を組み合わせることで、スクリーニングからカイネティクス解析まで様々なご要望にご対応可能です。特にスクリーニングにおいては、費用と時間の面からSierra SPR-24 Proをお勧めします。

高い精度の解析データをご納得の価格と納期でご提供いたします。

使用機器

Biacore T200(Cytiva)

捕捉に利用可能な分子
Biotin-tag,His-tag,GST-tag,ヒトIgG抗体,マウスIgG抗体,ヒトFab抗体,ウサギ抗体など
所要測定時間例
3サンプルのKD値算出まで2時間(カイネティクス解析)
対応可能なアプリケーション
スクリーニング、アフィニティ解析、カイネティクス解析、濃度測定、CFCA(検量線不要の濃度測定)ほか
設置可能なマイクロプレート
96/384ウェルプレート:1枚

Sierra SPR-24 Pro(Bruker)

ニードル数
8本
最大同時測定数
16測定(リガンド最大16種類、アナライト最大8種類)
所要測定時間例
384サンプルを27時間(スクリーニング)
設置可能なマイクロプレート
96/384ウェルプレート:計2枚

ビアコアで評価できること

分子間相互作用の解析例
  • ・抗原⇔抗体
  • ・タンパク質⇔タンパク質
  • ・タンパク質⇔ペプチド
  • ・タンパク質⇔低分子化合物
  • ・タンパク質⇔ビオチン化試料
  • ・タンパク質⇔Hisタグ試料
  • ※評価対象によりセンサーチップの種類やセンサーチップに固定する物質の組み合わせを選択する必要があります。精度の高い解析結果を得るには、最適な測定条件の設定が欠かせません。
  • ※お客様の目的に合わせた測定条件をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

評価・解析例・提供データ

ご提供するもの
  • ・試験計画書
  • ・試験報告書(センサーグラム、カイネティクスデータを含む)
    信頼性基準での試験をご希望の場合は、別途、ご相談ください。
試験例

≪ シングルサイクルカイネティクス法での解析例 ≫

【方法】
  1. 1. 抗ヒトイムノグロブリン抗体をセンサーチップに固定
  2. 2. ヒト抗体(リガンド)を捕捉
  3. 3. 抗原タンパク質(アナライト)を連続的に添加して相互作用を解析
【結果】
ka (1/Ms) kd (1/s) KD (M)
1.2 x 106 1.1 x 10-3 9.1 x 10-10

お客様から提供していただくもの

評価を行うサンプル(リガンド・アナライト)のみご用意ください。

リガンド

センサーチップの金属表面に固定する分子をリガンドと呼んでいます。固定する分子の種類によってセンサーチップを選択する必要があり、固定しやすさも異なります。1測定で50 µg/mL以上の濃度で、150 µL以上必要です(2測定の場合、2倍になる訳ではありません)。

アナライト

流路系に添加する分子をアナライトと呼んでいます。10 µM以上の濃度が必要です(低分子化合物の場合、1 mM以上必要な場合があります)。

  • ※必要サンプル量は試験系により異なります。お気軽にお問い合わせください。
  • ※測定用のセンサーチップやバッファーは弊社の方でご用意いたします。

価格等

測定系のご提案後にお見積りをご提示させていただきます。
お手数ですが、まずはお問い合わせください。

資料ダウンロード

受託サービス「分子間相互作用解析」に関する説明資料をご用意しています。
ご不明な点等がございましたら、何なりとご連絡ください。